母からもらったスキレット

更新日 2022年1月10日

シーズニングの失敗例

巷にはシーズニング方法の誤った情報があふれ、何が正しい方法なのか分からずに迷ってしまうこともあるでしょう。 それが誤った情報であると知らずにブログや動画で配信している方が多いようです。

ここでは、実際に私が失敗した方法を紹介します。 失敗の原因は二つ考えられ、その根拠も併せて解説します。あなたが失敗しないように参考にしてください。

上記の写真のスキレット底面の中央と、側面の一部の色が白っぽくなっているのが分かるでしょうか。 シーズニングで形成した油の被膜が剥がれてしまっています。 鼻を近づけると鉄の臭いもします。

シーズニングをしてから10回ほど使ったころ、被膜が剥がれていることに気が付きました。 このスキレットには試したいことがって理想とは異なる方法でシーズニングをしてみたのですが、予想していたよりも早く剥がれてしまいました。

亜麻仁油(アマニ油)でシーズニングした

一つめの原因はアマニ油でシーズニングしたことです。 シーズニング方法を学び始めたころ、私はアマニ油とエゴマ油がシーズニングに最適な油だと考えました。

シーズニングは「スキレットに油を塗って加熱し、油の被膜を作ること」です。 油を加熱することで、油の分子同士が網の目のように結合してポリマーと呼ばれる膜を形成します。 この膜が鉄製の鍋をサビから守り、食材をくっつきにくくしてくれるのです。

そのためには、油を構成する炭素に二重結合が多い方が網目構造を多く形成できると考えたため、丈夫な被膜に仕上げると予想したのです。

一般的な食用油でいうと、オレイン酸の含有率の高いアマニ油とエゴマ油が該当します。 オレイン酸は3つの二重結合を持つため、1つや2つしかない油よりも適切なはず。 しかし、その予想は外れ、もろい被膜にしかならなかったため?がれてしまいました。

アマニ油とエゴマ油の弱点は熱に弱いこと。 二重結合は網目構造を形成する前に、酸化によって無力化してしまったのです。 二重結合は多ければ多いほど酸化しやすく、せっかく3つもある二重結合を生かしきれなかったというのが今回の教訓です。

現時点で私のオススメはオリーブオイルと大豆油です。 これらの油は2つの二重結合を多く持ち、しかも酸化防止剤となるビタミンEも含まれています。 二重結合をできるだけ無駄にせずに網目構造を作ってくれるようです。

油の上塗りは2回だけだった

スキレットに油を塗って加熱するという作業は、何度も繰り返した方が強い被膜に仕上がります。 重ね塗りをすることで、1回よりも2回、2回よりも3回といった具合に厚みを増したポリマーが形成されます。

ただ、正直いって面倒ですよね。最近、見た海外のブログでは6回も繰り返し塗っているそうです。 その方の経験から導かれた答えかもしれませんが、できれば私は手軽に済ませたいし、あなたも必要最低限の答えを知りたいのではないでしょうか。

そこで「2回で済ませる」が今回のシーズニングのテーマでもありました。 もちろん、被膜を厚くすることはできませんが、二重結合を多く含むアマニ油なら薄くても耐えられる被膜を作れるのではないかと期待したテストでした。

結果はすでに述べた通り。アマニ油+2回塗りでは、たった10回使った程度で剥がれてしまうほど耐久性のない被膜になってしまいました。

私自身「どの油を何回塗ったら正解なのか」の答えは見つかっていません。現時点では…

  • 網目構造を形成するのに有利な二重結合を多く含む油
  • 酸化防止剤となるビタミンを含んだ油
  • 上塗りは必要最小限で済む油

これらの点を考慮してシーズニングのテストをしています。 幸いのこと、テスト用に使えるスキレットはたくさんあるので、その結果は随時更新していきます。

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